「股間の形をした生き物?」ゆかりは、思わず言葉を飲み込んだ。自分の妄想、男性恐怖症が産み出した幻想と思ってたものが、現実だったと緒方はいうのだ。あの、クモのような気味の悪い生物。あれが、男性の股間にへばりついてたとしたら、確かに、イチモツと思ってしまう。ああ、自分は、病気ではなかったのだ。安心した反面、逆に、もっと現実的な恐怖がゆかりの全身を包み込んだ。あの生物は、今まさに、この旅館のどこかにいて、いつ再び、自分の前に現れるかわからないのである。緒方は、言葉を続けた。「もうひとつ仮説があります」
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