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2007年03月 アーカイブ

2007年03月01日

「 M 」二十回目

鎌首を緒方の後頭部に突き立てようとしたその時、白い煙りが物体にまとわりついた。奇怪な叫び声をたて、そいつは緒方から離れ廊下に落ちた。鎌首で牽制しながら、たけし君の部屋に入った。煙りの向こうに、消火器を持ったゆかりがいた。「消火器で呼吸が困難になった。やはり、あいつは生き物だ」緒方は、たけし君の部屋の障子を見つめながらいった。「生き物?一体何なの?」ゆかりは、ヒステリックに問うた。緒方は、落ち着いた声で答えた。「あいつが何者か?あいつこそ、貴方を、そしてこの村の女性を悩ませていた正体なんだよ」

2007年03月02日

「 M 」二十一回目

ゆかりは、何かいいたそうにしたが、緒方は「今、説明してる暇はない。たけし君を救わないと」そういうとサッと障子を開けた。部屋の隅に、うずくまるようにたけし君がいた。ゆかりは、部屋中を見渡したが、あの物体はいなかった。緒方は、ゆかりの方を見ると、なんともいえない表情を浮かべた。「いいかい、これがあいつの正体だ」緒方は、うずくまるたけし君に駆け寄ると、そのズボンを剥ぎ取った。ゆかりは、目を丸くした。お風呂に入って来たたけし君と一緒だった。その股間は、大人のそれのように醜くうねうねとうねっていた!

2007年03月03日

「 M 」二十二回目

緒方は、消火器をたけし君の股間にむけ、消火液を噴出させた。部屋中に響く悲鳴があがり、たけし君の股間の醜い男根が、ボタリと畳に落ちた。竿の裏あたりから、いくつもの触手が出て、カサカサと動いた。「!」ゆかりは、言葉を飲み込んだ。「こいつが、すべての元凶だ。たけし君の股間にへばりついて寄生していたんだ」緒方は、畳の上でうねっているそれを見ながらいった。「こ、これが正体?」ゆかりは、不気味なそいつに目をやりながらうめいた。「男性のイチモツにそっくりの生き物。こいつに寄生されると徐々に精気を吸われていく」

「 M 」二十三回目

たけし君の股間から離れたそれは、度重なる消火器の攻撃に疲れた感じで、ヨタヨタと部屋の外へ出ていった。緒方は、その後を追った。「ゆかりさん、貴方は、たけし君を見てくれ」ゆかりは、部屋の隅でぐったりしてるたけし君を抱き起こした。「たけし君、大丈夫?」たけし君は、薄く目を開けると、きょとんとした表情でゆかりを見た。「お、おばさんは誰れ?」たけし君は、おびえた口調でそういった。「わたしよ。ゆかりよ」ゆかりは、たけし君の両肩に手を置いた。たけし君は、いやいやするように顔を振った。ゆかりの事を覚えていない!

2007年03月04日

「 M 」二十四回目

ゆかりは、たけし君と話しを続けた。ほんとに、たけし君は何も覚えてないようだった。しばらくすると、緒方が戻って来た。「あれ、どうなった?」ゆかりが聞くと、緒方はマジな口調で、「思ってた通りだった。あいつ、庭の池に逃げ込んでいった」そう言うと、たけし君の方を向いた。「たけし君、お父さん、お母さんが変だと思ったのはいつだった?」たけし君は、一瞬凍りついた表情を見せたが、思いつめた瞳でじっと緒方を見ると、小さい声で話し始めた。「最初は、とうちゃんもかあちゃんも普通やった。変わったのは満月の夜やった」

2007年03月07日

「 M 」二十五回目

「お風呂からあがって牛乳を飲もうと思った。いつもは、黙っとっても牛乳が出てくるのに出てこん。かあちゃんを見たら、なんの表情もなくボーっとしとる」たけし君は、そのあと取り憑かれたように喋った。父と母が、見掛けはそのままなのに、どう違っていったか、日々、顔に皺が出来、見る見る老けていったか。ある時、自分もなく意識をなくし、気がついたら今だった。たけし君は、そういうと、ブルッと体を震わせた。緒方は、たけし君を抱くと、語り始めた。「この村の住人、それも女性が、まるで集団ヒステリーのようにおかしくなった」

「 M 」二十六回目

緒方は、話しを続けた。

「みんな言う事は、一緒だった。父が父でなくなった。兄が兄でなくなった。見掛けは一緒なのに。僕は、神経の薬を渡すのみだった。

そのうち、彼女達はもっと別の悩みを語りだした。彼らの股間がおかしいというのだ。

はっきりいうと、人間の物と思えないほど不気味だと。彼女達は、みな一応にそんな事を言い出した。

僕は、その時点で、これは単なるヒステリーではないと思い始めた。ちょうどその時、ゆかりさん、貴方が僕のところにやって来たというわけだ」

緒方は、そういってゆかりを見た。


2007年03月08日

「 M 」について!

さて、そろそろ佳境に入らんとしている「M」ですが、ひとつ提案があります。今、登場してる男性器型の生物のデザインを送ってもらえませんか。プロ、アマを問いません。最初は、ビジュアル化不可能と思ってましたが、よく考えればエイリアンもちんちんみたいな感じだし、やりようがあるのかな、と。メール、待ってます。

2007年03月09日

「M」二十七回目

ゆかりは、昔の事を思い出したように身震いした。

「私は、ずっとセクハラだと思っていた。やさしかった上司が、いきなり下半身を剥きだしにしてくるのだから」

緒方は、うなずきながら、

「少し調べさせてもらったんだ。その二人の上司の事を」

そういうと一枚の紙を取り出した。

「これは、上司の本籍地の写しです。ほら、この村なんです」

ゆかりは、口の中で小さく悲鳴をあげた。緒方は、話しを続けた。

「つまり、この村の住人、そして出身者の身に何かが起こってるわけです。しかも、男性の身に。僕は、ある仮説を立てました。

その仮説がそれほど荒唐無稽でないことが、今回のたけし君のことでわかりました。僕の仮説、それは、未確認生物の存在です。要するに、男性の性器の形をした生物が、この村の男性の股間に取り憑き、その人間をコントロールしている!」







2007年03月12日

「 M 」二十八回目

「股間の形をした生き物?」ゆかりは、思わず言葉を飲み込んだ。自分の妄想、男性恐怖症が産み出した幻想と思ってたものが、現実だったと緒方はいうのだ。あの、クモのような気味の悪い生物。あれが、男性の股間にへばりついてたとしたら、確かに、イチモツと思ってしまう。ああ、自分は、病気ではなかったのだ。安心した反面、逆に、もっと現実的な恐怖がゆかりの全身を包み込んだ。あの生物は、今まさに、この旅館のどこかにいて、いつ再び、自分の前に現れるかわからないのである。緒方は、言葉を続けた。「もうひとつ仮説があります」

2007年03月15日

「 M 」二十九回目

「この村に赴任した時から感じていたことがあります。それは神社の数がやたら多いということ」緒方は、資料ファイルから一枚の紙を抜き出した。それを見ながら緒方は、自らの仮説を語り始めた。ゆかりは、その大胆な仮説に度肝を抜かれた。緒方は、いう。神社は、神が宿るためのマンションのようなもので、自然界に潜む神を迎えるための知恵が結集されている。神社の基礎には、丸い石柱が三つ埋め込まれているが、それは神に対する信号器でもあるという。「僕は、神を外宇宙からの飛来者と解釈した。三つの石柱は、着陸のための目印だ」

2007年03月18日

「 M 」三十回目

緒方の推論が続いてる時、外で音がした。カサコソと乾いた音が!緒方は、厳しい顔になると、ゆかりの手を取った。障子を少し開けると素早く外を見た。「クソッ!思ったより素早い」緒方は、ゆかりとたけし君を立たせると、「奥に向かって走れ!」そう言って強く背中を押した。ゆかりは、疑問を口にする余裕もなく駆け出したが、その刹那、チラリと後ろを見た。一瞬、息が止まった。障子を薙ぎ倒して、そいつらが押し寄せて来た。巨大なウジ虫のような胴体、そこから節ばった長い足が何本も突き出ている。そいつは、一体ではなかった。

2007年03月22日

「 M 」三十一回目

その数、およそ数十匹!互いが重なり合い、絡み合いながら、こちらに迫って来る。ゆかりとたけしをかばうように緒方が一番後ろを走る。「ヤツラは、人の体温に反応してる。目はないはずだ」緒方は池の方に行けと命じた。ゆかりは、奥の廊下を右に折れた。そちらが庭に出る道だと思った。その時である。ゆかりの足が一瞬宙に浮いた。何が起こったか分からなかったが、次の瞬間、激痛を伴った衝撃が全身を走った。床が抜け、地下の空洞に落下したのだった。後を追うように、たけしと緒方もゆかりに続いた。旅館の下に、こんな空洞が?

2007年03月27日

「 M 」三十二回目

したたかに腰を打ったゆかりは、その痛みでしばらく動けなかったが、緒方の声で立ち上がった。「ぐずぐずしてる場合じゃない。すぐにあいつらが来るぞ!」緒方は、そういうと、ゆかりとたけしの手を引いて、空洞の奥へと走り出した。「どこへ行くの?」「とにかく、出口を見付けないと。この暗闇では、我々は圧倒的に不利だ」緒方は、そのあと一言も発せず、黙々と走った。ゆかりは、後ろから迫って来るザワザワという音に心を震わせながら、ひたすら走った。空洞の天井から漏れる微かな光。その光の中にある物が現れた。巨大な、それが!

「 M 」三十三回目

巨大なそれは、ブルンと筒状の巨躯を震わせ、口らしき部分から鈍い雄叫びをあげた。「駄目だ!こいつは攻撃して来るぞ!今までの奴は蟻でいえば働き蟻にすぎない。こいつは、兵隊蟻だ!」緒方は、ゆかりとたけしを自らの背後にかばった。兵隊蟻は、鎌首をもたげ、先端がズルリとめくれあがり、硬質の嘴が現れた。こいつは、ゆうに2メートルはあり、嘴だけでも20センチはあった。あの股間にへばり付いていた奴の10倍ほどの大きさだ。緒方はいった。「も一度、旅館に戻ろう。あそこに消火器があったはず」いうが早いか、緒方は踵を返した。

2007年03月29日

「 M 」三十四回目

後ろには、巨大な兵隊蟻がいるが、前方には無数の働き蟻がいる。そこを強硬突破しようと緒方はいうのだ。目の前で、ウネウネとのたくる男根の群れ。ゆかりは、セクハラで悩んでいたあの頃の気持が、ふいに蘇った。「考えてる暇はない。行くぞ!」緒方は、たけしの手を取ると、不気味な男根の群れの中に飛込んでいった。働き蟻は、甲高い悲鳴をあげると、左右に分かれた。緒方の手元にライターがあり、炎が燃えていた。「やっぱり、こいつらは光や火に弱い」緒方は、二つに分かれ、出来た隙間に突入し、一気に群れから抜け出した。