緒方の車は、村のはずれにある荒涼たる空き地に着いた。
墓らしきものは何も無かった。
緒方は、車を降りると、スコップでしかるべき場所を堀り始めた。
この村では、この場所で死体を焼き、身内の要望があればこの場所に直接埋めるのだと緒方はいった。
「ここに老夫婦の死体があれば、どういうことになるの?」
ゆかりは、問うた。
「湯治屋にいる夫婦は、老夫婦でないことになる」
緒方は、手を休めず答えた。
「ここに埋まってる遺体が老夫婦のものだと証明できるの?」
「言ったろ。二人は頭を強く打って亡くなった。その傷痕が目印だ」